イマジネーション

2011年9月9日
たばこを くゆらせ
酔いに任せて
イマジネーションだけは無くしてはいけないわ
散らかった部屋の主、わたしのご主人様は、ひとりごちた。
「ねえ?ンミ。」
ああ、独り言ではなく、私に語っていたようだ。
私は、彼女の飼い猫。
…だった…という方が正しいのか?
私は、もう、身体を離れている。
いわゆる、寿命をまっとうし終えているのだ。
だけど、彼女は、よく私に話しかける。
魂となった私が見えているのか、いないのか…微妙なとこだ。
「ねえ、ンミ?」
私は生前、「ンミ」という名前で呼ばれていた。なんでも、彼女が大好きなゲーム、「しりとり」を、終わらせない為に、「ン」から始まる言葉を増やしたかったからだとか。よく、かつての彼女の恋人に「ンから始まる言葉なんかねえよ!」と言われるたびに、「あら、アフリカの方にはいくつかあるのよ?それに」
それに、私の可愛い猫ちゃんの名前は…と、続けていたものだ。

彼女はまた、ひとりごちる。
「必ず終わりが来ると思うからよ…」
実際、「ン」で終わらせたがった恋人とは、案の定、終わった。
…だからって、ねえ。
「ふああ、さあ、眠りましょう。」
そういって彼女、ブランケットの端をめくって、もう姿のない私を呼ぶんだ。
私は…

まあ、ふとん、嫌いじゃあないからね。
私が潜ると、彼女、安心したように、眠りにおちるんだ。

こんなんじゃあ、いけないよねえ。

でも…
…で…も…

あ…あ…

眠く…なっ…



…目を開いたら、太陽は高く、
私のご主人様は、今日も、私のお皿に、ミルクを入れてくれていて…

ああ。

だめな人間と、だめな死に猫の、
日常は、続く…。

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