のべる

2011年7月12日
「わーっはっは!!」
「きゃははははは!!」
集合住宅に住む、ひきこもりの私にとって、昼間、隣のアパートから聞こえてくる、あの楽しげな声は、ささやかな楽しみだった。
「ああ、あの夫婦、今日も幸せそうだな。」
それに比べて、深夜になって、聞こえてくる、
「おらあああ!!」
「痛い!助けて…!!」
という、親らしきヒステリックな叫びと、幼い子らしき悲鳴には、悲しくなる…というよりは、憤りすら感じていた。
「よし…今日こそ!決定的証拠を掴んで、法的に、子どもを救うんだ!」
ひきこもりが、勇んで、隣のアパートへ繰り出した。
…ものの、そのアパートは、一世帯しか住んでいなかった。
そう、あの楽しげな笑い声も、残酷な虐待も、同じ家での出来事だったのだ。
ショックを隠しきれぬまま、ひきこもりの私は、その世帯の表札に目をやった。
「木戸 あい
    らく」
「…かかあ天下、か…」

私は、ますますひきこもりがちになった。

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