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2011年7月11日
「おはよう。」
「おはよう…って、何?」
「私は、死なせ屋。」
「死なせ屋…?殺し屋、か?」
「いいえ、死なせ屋です。死にたいが口癖のあなたを、死なせてあげる為に、やってきました。」
「…うーん…確かに…僕は…死にたい、が、口癖だ」
「ですよね。では、死なせてあげましょう」
「待って!僕は、確かに、死にたい、が口癖の男だ。だからといって、たいして、死にたい理由も無いんだよ…」
「だから、よ。だから、死なせ屋の私は、あなたのもとへやって来たの。」
「死にたいが口癖のくせに、死なない僕のところに、か?」
「そう。そこが、私達死なせ屋と、殺し屋との違うとこ。」
「そこ?」
「そう。死にたいが口癖のくせに、死にたい理由もなく、殺される理由もなく、ただ生きてしまっているひとのとこへ来る、理由。」「…で?このあと、お前はどうするんだ?」
「あなたの死に、理由をつけてあげるのよ。借金苦…浮気…詐欺…なんとでも」
「…僕は…死にたい…だけど…
嘘は嫌だ!」

バキューン!

「ふう…
ありがとう。
この、ヒモで女たらしで守銭奴を、この世から抹殺してくれて、ありがとう。
あたしを苦しませ続けた、この、昔の彼氏を、消してくれて、ありがとう。
あたしに出来なかった事をしてくれて、ありがとう。
殺し屋さん。」

その時あたしは、死なせ屋よりも、短編小説家になりたいと思った。

もっと上手に。

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