「ついてる女の子」
女の子が、朝、駅に向かっていると、雨が降ってきました。
「ついてる。
だって、水の音は、とても癒されるもの。」
電車を降りると、前を歩いているおじさんの、畳んで手に持った傘が足にあたりました。
「ついてる。
自分が畳んだ傘を手に持った時に、後ろのひとにあたらない角度を知る事が出来たもの。」
仕事場に着くと、リストラにあってしまいました。
「ついてる。
職種も、ひとも、新しい出会いのチャンスだもの。」
仕事あがり、夕飯の買い物をしていると、ヒモである彼から、タバコを買って来てとメールが来ました。
「ついてる。
彼が私を必要としている、って事だもの。」
夕飯はお鍋にしました。食べる速さが違うし、女の子が少し食べる間に、彼は沢山たべます。
「ついてる。
どんどん痩せる事が出来るもの。」
すぐに眠る彼のそばで、照明をおとして、ひっそりと、こっそりと、女の子はお酒を飲みます。
誰にも内緒で、涙を流します。
「ついてる。
だって、水の音は…」

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